SAP ERPと新受注管理システムをMagic xpiで連携
受注処理の迅速化と「顧客満足」を達成

背景

学研は2007年に基幹システムを SAP ERPで一新させるという大がかりな再構築を実施した。しかし受注センターの業務は作業効率が非常に悪く、SAPの刷新で一部検索機能が強化されたものの市販受注業務に特化したものではなかった。また従来の運用では「電話がつながらない」というクレームが多く機会損失と企業イメージが低下。目視作業や手作業が多いことによる仕事の精度の低下とコスト増が問題になっていた。

対策

主婦の友図書がMagicで開発した出版物流パッケージ「SFTSYS」を導入。「SFTSYS」をSAP ERPのフロントエンドとして機能させるためMagic xpiで連携した。Magic xpiがSAP用コネクタを備えているため特別な開発なしにスムーズに連携できた。

結果

受注処理と在庫更新がリアルタイムで行えるようになり。1回あたりの通話時間や受注処理にかかる時間を大幅に短縮。書店、オペレータ、会社経営側の三者が満足のいく業務改善が実現できた。

 

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[会社名]  学研

出版販売部 顧問

早川清一 様

出版販売部副部長(兼)

書籍販売室々長

福山通彦 様

経理部IT運用チーム

アプリチームリーダー

坂本勉 様

 

基幹システムをSAP ERPで全面刷新

学生・子供向けの雑誌・書籍のみならず趣味・教養・エンターテインメント分野の出版でも高い知名度を誇る学研は、先端メディアに対応したデジタル・コンテンツ事業や、幼稚園・学校向け教材、教室・塾事業など多面的な事業を展開しています。

同社では、かねてから市販物流の戦略的見直しを検討していました。特に受注業務、在庫管 理の刷新を模索していましたが、時同じくして発足した全社規模での業務改革プロジェクトの中で検討されることになりました。その結果2007年7月に、事 業基盤の強化を目的として30年来使用してきたIBMメインフレームからAIX(IBM版UNIX)サーバーへメインシステムを移行し、基幹システムを SAP ERPで一新させるという大がかりな再構築を実施しました。

「弊社では、受注センターの電話オペレー タが書店からISBNコード(国際標準図書番号)や書名で注文を受けると、当社独自の品目コード表で商品を調べ、それを基にオンラインで在庫を照会し、さ らに書店コードなどを聞いて受注票(紙)にまとめ、入力担当者へ回すということを行っていました。そして入力担当者は、その受注票の内容をオンライン入力 していたので、作業効率が非常に悪かったのです。SAPの刷新で一部検索機能が強化されたのですが市販受注業務に特化したものではなかったため、かねてか ら検討していた受注入力業務の簡便化の実現を早めることになりました。」(経理部IT運用室アプリチーム リーダーの坂本勉氏)

また、従来の運用では、ほかの問題も生じていました。1つは、受注票に記入する項目を逐一 電話で確認するため受注1回あたりの電話時間が長くなり、「電話がつながらない」というクレームが多かったことです。これは受注機会の損失と企業イメージ の低下につながります。さらにもう1つは、注文受付と受注入力の分離による非効率さと、目視作業や手作業が多いことによる仕事の精度の低下です。このこと は、結果的にコスト増へつながっていました。「従来の運用を変えるためには市販受注業務に特化した仕組みが不可欠でした」と出版販売部副部長 兼 書籍販売室室長 福山通彦氏は振り返ります。

 

追加開発を必要としないMagic xpi

そこで同社の取った選択は、出版物流パッケージ「SFTSYS」(主婦の友図書)の導入 と、それとSAPとの連携です。SFTSYSは、CTIや商品検索、在庫照会、受注入力などの機能を備えているため、書店からの電話を取ると同時に書店情 報が画面表示され、従来のように書店コードや番線コード(出版業独自の配送ルート番号)を聞く必要がありません。ISBNコードから学研独自の品目コード の検索や在庫照会もスムーズで、注文電話を受けながら受注入力が可能です。

「初めてSFTSYSのデモを見た時は、こんな便利なものがあったのかと、目からうろこが落ちる経験をしました」と福山氏は語ります。

しかし、このSFTSYSをSAP ERPのフロントエンドとして機能させるには、連携の仕組みが必要になります。親しいSI業者に見積もってもらったところ、連携システムの構築に「約1億円かかる」という回答もきていました。

ところが、SFTSYSがマジックソフトウェア・ジャパンのMagicで開発されたパッケージソフトであったことから、システム連携用のツールとして「Magic xpi」が浮上してきました。

「Magicで開発した受注入力画面との連携がいいのは同一会社のツールなので当然だとしても、Magic xpiとSAPの連携も、Magic xpiがSAP用 コネクタを備えているため特別な開発なしにスムーズに行えます。短期導入と高い品質を実現するにはMagic xpiしかないと考えました」と出版販売部顧問の早川清一氏は説明します。

 

書店・オペレータが「満足」の評価

SAP ERPと外部システムとの接続は、標準インターフェースとしてIDoc/ALE、BAPI、RFCの3種類が用意されていますが、Magic xpiのSAP ERPコネクタは3種類すべてに対応しているので、Magic xpiからSAPサーバー上のモジュールを直接、呼び出すことができます(今回はBAPIを利 用)。また、新規導入のSFTSYSベースの新受注管理システムとMagic xpiの間は、在庫照会についてはHTTPによる問い合わせに対してXMLでの返 し、受注入力はXMLでやり取りされています。つまり、Magic xpiがこの2つのシステム間のデータ/プロトコル変換を自動で行うため、追加開発なしに連携 が実現するわけです。

これにより、受注処理と在庫更新がリアルタイムで行えるようになりました。また、1回あたりの通話時間がより短く済むようになり、注文受付から受注処理までを大幅に短縮できました。

「何よりもうれしかったのは、数多くの書店からお褒めの言葉をいただいたことと、受注センターの オペレータから『格段に使いやすくなった、注文を受けた商品が今どのようなステータスにあるかを明確に回答できるようになった』と喜びの声が聞こえたこと です。基幹システム再構築プロジェクト、市販物流改善施策の大きな目標であった、品質、コスト、スピードが一歩理想に近づいたと思っています」(福山氏)

SAP ERP導入後の受注入力簡便化を目指した新受注管理システム導入とMagic xpiベースのSAP ERP連携によって、書店、オペレータ、会社経営側の三者が満足のいく業務改善が実現できています。

▲新受注管理システムとSAP ERPを連携した学研のシステム

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